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事実の概要

X(原告・控訴人・被上告人)はAに対して売掛代金債権7万円余を有していたが、昭和25年9月に、その担保として本件建物(時価10万円以上)を代物弁済としてXに譲渡する旨の合意がなされた。Aが期限を徒過したため、Xは昭和27年5月に登記移転を求めて提訴し(別訴)、清算金3万円余の支払との引替給付を命じる判決が確定した。他方B(Aの甥)はAに対する8万円を被担保債権とする抵当権を本件建物上に昭和25年2月の時点で有していた。Xの上記別訴提起直後の昭和27年6月、BはAと共謀の上、Aに他に資産がないのに、代物弁済として本件建物の所有権を取得し、その後まもなく9万円でこれを悪意のY(Aの妻の叔父―被告・被控訴人・上告人)に譲渡し、Bの抵当権の抹消登記およびAからYへの所有権移転登記がなされた。Xはこの登記の効力を争って本件訴えを提起した。原審でXは、A・B間の代物弁済契約を詐害行為として取り消し、Yに対してAへの移転登記を求め、認容された。そこでYより上告。XのAに対する移転登記請求権に基づいて詐害行為取消権の行使を認めた点を咎める。¶001