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事実の概要

昭和52年にAは兄とともにB会社を設立した。平成3年5月15日X(原告・被控訴人・被上告人)はAに6000万円余を貸し付け、本件貸金債権を取得したが、平成4年頃からAの資金繰りが悪化した。Xは本件貸金債権につき確定判決を得て、平成7年8月に本件貸金債権のうち500万円を請求債権としてAのBに対する給料および役員報酬債権(以下「本件報酬債権」と呼ぶ)を差し押さえた。¶001

他方、Y(被告・控訴人・上告人)は平成3年10月にAと結婚したが、Aの資金繰りが悪化した平成4年頃から夫婦仲が悪くなり、平成6年6月1日にA・Yは協議離婚をした。同年6月20日にA・Yは、Aの債務がその資産を遙かに上回っているために他の債権者を害することを知りながら慰謝料支払等に関する契約(以下「本件合意」と呼ぶ)を結び、公正証書を作成した。その内容は、AがYに対して慰謝料2000万円および生活補助費毎月10万円を支払うというものである。Aが一切支払をしないので、平成8年4月にYはAに対する本件合意に基づく債権2220万円を請求債権として本件報酬債権を差し押さえた。¶002