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事実の概要
本件建物は、昭和23年4月25日当時、Aが所有していた。A・Xは、同日、本件建物をAがX(原告・被控訴人・被上告人)に売る旨の契約をした。本件建物は、Y1・Y2(被告・控訴人・上告人)が占有している。そこで、XがY1・Y2に対し、所有権に基づき、本件建物の明渡しを請求する訴訟が本件である。なお、A・X間の売買に基づく所有権の移転の登記がされた事実は、窺うことができない。¶001
Y1・Y2が本件建物を占有するに至った経過には、明確でない部分がある。認定されている事実から明らかであることとして、まず、昭和19年12月、A・Y1は、本件建物をAがY1に賃貸する旨の契約をした。その頃、この賃貸借に基づき、本件建物は、AからY1に引き渡されたものとみられる。昭和21年5月頃から、Y1は、Y2との間で内縁関係をもつに至り、これを契機としてY2が本件建物を使用するようになり、本件建物は、Y1が居住するとともに、Y2が事業のために使用するに至った。¶002