Ⅴ. 提案個数の制限(1):10個の特定に関する問題

1. 適法な提案から10個選ぶ必要があるか

ある株主が30個の株主提案を行ったが、特に優先順位を付けていなかった。客観的には適法な提案はそのうち10個であった。会社は適法な提案10個を取り上げる必要があるか。また、会社は不適法提案10個を特定し、不適法を理由に全ての株主提案を取り上げないことが可能か。

藤田それでは、株主提案の個数の制限に移りたいと思います。改正法305条4項は、提案株主の議案要領送付請求権との関係で、提案個数は10個までという制限を設けました。この10個の制限の適用の仕方について、適法な提案の中から10個選ばなければいけないのか、それともまず10個の提案を選んで、その中で適法な提案ではないものがあれば落としてよくて、結果的には10未満の提案しか取り上げないということがあってもいいのかというのがここでの問題です。文言上はどちらの解釈もあり得るとは思いますが、どちらでしょうか。法制審議会のやり取りでは、事務局から後者の解釈が示されており(法制審議会会社法制(企業統治等関係)部会第17回会議〔平成30年10月24日開催〕議事録14頁~15頁[野村修也委員発言、竹林俊憲幹事発言参照])、部会長の解説でもそうなっています(神田秀樹「『会社法制(企業統治等関係)の見直しに関する要綱案』の解説〔Ⅱ〕」商事法務2192号〔2019年〕9頁注1)。