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(1)より続く¶001

Ⅲ 性犯罪の公訴時効期間の延長

1 改正の根拠と当否

性犯罪については、以前から、公訴時効に関して他の罪とは異なる取扱いをすべきではないかという主張がなされていた21)。その根拠とされるのは、性犯罪は、被害者による被害認識や被害申告が類型的に困難なことである。検討会においても、例えば、被害時に未成年である場合、性的虐待順応症候群により被害を開示しないことや解離性健忘によって被害の記憶を失うことが珍しくないほか、自己の身に起きたことがよくわからずに被害認識に10年以上かかる例もまれではなく、また、思春期以降に性的なことだとわかっても、警察に届け出るような被害とは認識できない例があること、被害時に大人である場合であっても、被害認識に1年以上かかることが多く、特に知人からの被害では、見知らぬ人に突然襲われるという性暴力のイメージと一致しないため、被害と認識できない例があるといった指摘がなされた22)¶002