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アメリカは天然ガスの主要生産国であり、連邦エネルギー省によれば、2020年には全世帯の約61%が暖房、給湯又は調理のいずれかに天然ガスを利用していた。その結果、居住用及び商業用の建物からの温室効果ガス排出量が、全米排出量の約29%を占めているとされる。これに対する取組のうち、建物への天然ガス設備等の設置規制をめぐる動向を紹介する。¶001

アメリカでは、建築規制を行う権限は州、州から権限を委譲された市、郡等にある。州レベルでは、カリフォルニア州(2021年)とワシントン州(2022年)が、法律ではなく行政の建築規制(building code)により新しく建設される建物の電化を進めている。市レベルでは、2019年にカリフォルニア州バークレー市が、新しく建設される建物に天然ガス設備等の設置を禁止する条例を全米で初めて制定した。サンフランシスコ市(2020年)、ニューヨーク市(2021年)等がこれに続き、同様の条例を有する市は25に上るとされる。¶002