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 Ⅰ はじめに

個人情報保護委員会(以下「個情委」という)は、個人情報等の取扱いを監督する独立した第三者機関として、2015年の個人情報保護法(以下「個情法」という)改正によって設置された。もっとも、同改正でゼロから組織されたのではなく、特定個人情報等の取扱いを監督するものとして、番号法(2013年制定)に基づいて設置された特定個人情報保護委員会を改組するかたちで発足した。同委員会の時代を含めても、個情委は10年の歴史しかもたないが、その任務・所掌事務・権限は飛躍的に拡大してきている。上記改組で、同委は、特定個人情報(及びこれと共に管理されている個人情報)のみならず、個人情報一般さらには匿名加工情報の取扱いについても事業者を監督できる機関としてスタートする。その後、2016年の行政機関個人情報保護法等の改正で、行政機関非識別加工情報等、2020年の個情法改正で、仮名加工情報・個人関連情報の制度をも所管することとなり、翌2021年の同法改正で、官民、さらに国・地方を通じて個人情報等を一元的に所管するまでに至る。こうした役割の拡大に伴い、発足時には52名(そのうち39名が番号法関係)であった事務局の定員は、2020年3月には139名、2022年3月には148名、2023年3月には195名に達している(それでも少ないという意見もあろう)。かような個情委の役割拡大は、デジタル化するグローバル社会への対応という側面があるが、そうであるならば、ChatGPTを始めとする最近の生成AIの加速度的な開発・普及により、同委にはさらなる役割・任務が求められることになろう。¶001