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 Ⅰ はじめに

1 本稿の課題

(1) 2023(令和5)年3月7日、第211回国会に「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」(以下「マイナンバー法」)1)の改正法案が提出され、同法案は特別委員会及び本会議の審議・表決の手続を経て可決・成立、同年6月9日に公布された2)¶001

(2) 本稿に与えられた課題は、マイナンバー法とその令和5年改正を素材として、「法的視点からみたデジタル社会の現在とその課題について論じること」である3)。マイナンバー(個人番号)をめぐる議論が尽きないなか4)、同法をめぐる「法の変容」を論じることは難題であるが、本稿においては、上記の課題を筆者なりに「デジタル化が進められていく社会(デジタル社会の形成)において、マイナンバー法とその改正(法の変容)を、行政法学としてどのようにみることができるか」と価値中立的にとらえ、考察を進めることとしたい。¶002