イタリアには、地中海最大の島であるシチリア島やそれに次ぐサルデーニャ島を始め、大小様々な島嶼が存在する。こうした島嶼に向けた支援のための規定を改めて設ける憲法改正が2022年11月に行われた。¶001
従来の経緯
1947年制定当初の憲法において、島嶼部への支援に関しては、州の財政自治権を規定した119条に「特定の目的のために、とりわけ南部及び島嶼部を開発するために、国は、法律により、当該州に特定補助金を支出する」(旧3項)という規定が置かれていた。しかし、この規定は、2001年の憲法改正により、「経済発展、社会的結束と連帯を促進し、経済的及び社会的な不均衡を除去し、人格権の実効的な行使を助長し、又はその権能の通常の行使とは異なる目的に対処するために、国は、特定のコムーネ、県、大都市及び州に、追加財源を配当し、特別な措置を行う」(同条5項)という、より広範な規定が導入されたために廃止された。また、同条の実施規定である2009年法律第42号「憲法第119条の規定の具体化における、財政連邦主義に関する政府への委任」においても、制定当初、社会資本についての措置を関係大臣が承認する際、島嶼部の特殊性を考慮すべきとの規定が置かれていた。当該規定が2021年に改正された後も、社会資本及び発展に係る地域間格差を解消するために必要な活動及び優先順位をつける際の基準を定めるに当たり、島嶼部の特殊性にとりわけ注意を払うことが求められている。ただし、同法の委任に基づき、より多くの財源を必要としている地域に手厚く配分し、地域間の不均衡を是正するはずであった立法命令(法律の定める一定の原則・指針の下に、政府が制定する法律と同等の効力を有する命令)の制定は不十分との評価も見られるところである。¶002