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Ⅰ 本稿の課題

本稿は、不当景品類及び不当表示防止法(以下「景表法」または「法」という)上の不実証広告規制に係る問題の一部を扱う。不実証広告規制とは、事業者による商品・役務の内容に係る表示について、行政庁がその根拠資料の提出を命じたにもかかわらず、当該事業者が一定期間内に合理的な根拠資料を提出しない場合に、当該表示に係る違反事実を認定することができるものとする制度のことであり、平成15年改正の法7条2項によって初めて導入されたものである1)。同条による不実証広告規制の憲法適合性については、いくつかの裁判例で争われてきたところ2)、最高裁令和4年3月8日判決(判タ1500号76頁。以下「だいにち堂事件最判」という)が「法7条2項は、憲法21条1項、22条1項に違反するものではない」として注目を集めた。本稿は、同最判後にもなお残る問題の一部に関し、論点の整理を行うものである3)¶001