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Ⅰ はじめに

2022年7月の安倍晋三元首相銃撃事件を契機として、カルト宗教の問題に注目が集まった。事件の背景に旧統一教会による霊感商法や高額献金の実態があることが知られるに至り、その対応策として、同年12月には早くも被害者救済二法1)が成立した。¶001

カルト宗教への対応が求められたのは、今回が初めてではない。1995年に地下鉄サリン事件を実行したオウム真理教に対しては、宗教法人の解散命令が下され、さらには破壊活動防止法(破防法)上の解散指定が初めて適用されるか否かも検討された。また、同事件を受けて、同年には宗教法人法が改正され、1999年には無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律(団体規制法)が制定されている。今回成立した法人等寄附規制法も、宗教法人による寄附募集に一定の禁止行為を設けるものであるから、カルト宗教に対する規制であると位置づけられる。¶002