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Ⅰ はじめに

2022年12月に成立した「法人等による寄附の不当な勧誘の防止等に関する法律」(不当寄附勧誘防止法)(令和4年法律第105号、以下、本稿では単に「新法」という)は、法人等が不当な寄附の勧誘を行うことを規制するとともに、そのような勧誘によって行われた寄附の取消し、さらにその結果として生じる寄附の返還請求権の行使に関する民法の特例等を定めたものである。¶001

2022年7月8日に発生した銃撃事件による安倍晋三元首相の逝去を契機として、霊感商法や宗教法人・宗教団体等に対する高額の寄附の規制を求める声が高まる中で、最終的にこうした形で寄附の不当勧誘行為を規制する立法が行われたこと自体は、被害者救済の第一歩を踏み出したという点で評価すべきである。また、新法は、宗教法人・団体のみならず、広く法人または法人でない社団・財団(ただし、代表者もしくは管理人の定めがあるものに限定)に対して適用されるため(1条括弧書)1)、実質的には宗教法人・団体等の組織であることを隠匿した団体等が寄附の勧誘を行う場合についても、その規制を及ぼすことが可能である点も評価できる。¶002