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事実

X社(原告・控訴人)は、Y社(被告・被控訴人)の株式17万株を有する株式会社であり、定款に株式譲渡制限の定めが置かれている。他方、Y社は、昭和10年に設立された公開会社であり、創業者の死亡後、Z(補助参加人)・Aを含む創業者の妻子5名が取締役に就任し、Zが代表取締役に就任した。その後、平成23年までにZ・A以外の取締役3名が死亡したが、役員選任に係る株主総会は開催されていない。¶001

Zは、平成27年2月4日、Y社との間で、Zが保有するX社株式(以下「本件譲渡株式」という)をY社に6億円余りで売却し、Y社が別途実施する募集株式の発行に際し、Zが譲渡代金債権の全額を現物出資する旨の売買契約を締結した。そして、Y社の取締役会議事録には、同日付けで取締役会(以下「本件取締役会」という)が開催され、①Y社が本件譲渡株式を取得する旨、および、②33万株の募集株式を発行し(以下「本件募集株式発行」という)、その全部を総数引受契約(以下「本件総数引受契約」という)によってZに割り当てる旨を決議したとの記載がある。本件募集株式発行につき、Y社は新聞公告をし、Zは同月23日に現物出資の合意と払込金の入金をした上で、本件募集株式の全部につき株券不所持の申出をした。Y社は、同月26日、発行済株式総数を80万株から113万株に変更する登記をした。¶002