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事実の概要
2022年2月21日にウクライナ東部の「ルハンスク人民共和国」と「ドネツク人民共和国」を「国家」承認したロシアは、同24日にウクライナへの「特別軍事作戦」を開始した。ロシアによれば、両「人民共和国」内でのウクライナ政府によるジェノサイドの実施を中止させるための行動とされ、両「人民共和国」からの要請で集団的自衛権の行使による正当化が行われた。これに対してウクライナは同26日に、ジェノサイド条約(以下「条約」)9条を管轄権の根拠として、ロシアの正当化の主張を否定し、⒜ドネツクとルハンスクでの条約上のウクライナの義務違反行為の不存在、⒝条約上ロシアにはウクライナに対して行動をとることができないこと、⒞ドネツクとルハンスクの独立の承認は条約上の根拠を有さないこと、⒟ロシアの「特別軍事作戦」は条約上の根拠を有さないこと、⒠ロシアによる再発防止の保証、⒡ロシアによる完全な賠償からなる請求、についての判断を求めてロシアを相手取り国際司法裁判所(以下「裁判所」)に一方的に提訴した。¶001