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事実の概要
本件は、「情報記憶装置」についての特許権を有するX(原告・控訴人)が、Xの販売するプリンタに対応するX製のトナーカートリッジ(X製品)の再生品(Y製品)を販売するYら(被告・被控訴人)に対し、特許権に基づきY製品の製造、販売等の差止め・損害賠償等を求めた事案である。X製品(純正品)には、特許発明の実施品である電子部品が取り付けられており、使用済みのX製品にトナーを再充塡してプリンタに装着すると、印刷自体は支障なくできるが、X電子部品の機能により、トナーの残量表示が「?」となる等正しく表示されなかったりする。これらはX電子部品のメモリを書き換えれば回避できるが、回避を阻止するための措置(本件書換制限措置)がされていたので、トナー残量を正しく表示させるために、Y製品においては電子部品を別のものに付け替えていた。Yらは、X製品について特許権はもはや消尽しているからその再生品であるY製品について権利を行使することはできず、仮に消尽が成立しなくても、特許権の行使が権利の濫用に当たると主張した。第1審判決(東京地判令和2・7・22裁判所Web〔平29(ワ)40337号〕)は、特許製品自体が取り替えられているので消尽は成立しないとしたうえで、差止請求および損害賠償請求が権利の濫用(民1条3項)に当たると判断した。¶001