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事実の概要
本件は、石綿含有建材を加工・使用して建物を建設・改修し、もしくは石綿含有建材を含む建物を解体する作業に従事した後に石綿肺、肺がん等の石綿関連疾患に罹患した者(以下「本件被災者」という)またはその承継人が、建材メーカーYらおよび国に対して損害賠償を求めた事案である。なお、以下では、国に対する請求には言及しない。¶001
第1審(横浜地判平成29・10・24裁判所Web)は、昭和47年頃までに石綿粉塵への曝露と石綿関連疾患への罹患との間の因果関係に関する医学的知見が確立したことを踏まえ、遅くとも昭和51年1月1日以降、Yらは、石綿含有建材の製造販売にあたり、同建材の外装・包装等に、含有する石綿に起因する粉塵への曝露により石綿関連疾患に罹患する危険があること等(以下「本件警告情報」という)を明示してこれを警告すべき義務(以下「警告表示義務」という)を負っていたとし、その違反を認めた。そして、本件被災者のうち左官工3名およびタイル工5名の損害についてY1が、また、保温工2名の損害についてY2が、それぞれ民法719条1項後段の類推適用により賠償責任を負うとした。¶002