FONT SIZE
S
M
L

 事実の概要 

X(原告・被控訴人・被上告人)は、Y(長門市─被告・控訴人・上告人)の消防職員であり、平成16年に消防士長、同25年4月に消防司令補となり、同月以降、消防署分隊長や同小隊長の任にあったところ、主として平成24年以降、部下等の立場にあった約30人に対し、訓練中に殴打したり約2 kgの重りを放り投げて頭で受け止めさせるなどの暴行、「殺すぞ」、「クズが遺伝子を残すな」などの暴言、トレーニング中に陰部を見せるよう申し向けるなどの卑わいな言動、プライバシーに関わる事項を無理に聞き出す行為、Xを恐れる趣旨の発言等をした者らへの土下座の強要等をした(合計約80件)。Y消防長は、上記各行為(以下「本件各行為」という)がパワハラであるとして、平成29年8月22日、(ア)Xは消防職員としての資質を欠いており、このことは容易に矯正できない素質・性格によるもので、配置転換も含め改善の余地がないこと、(イ)本件各行為は職場の人間関係および秩序を著しく乱すもので、Yの消防組織全体への影響が大きいことを理由に、地方公務員法(以下「地公法」という)28条1項3号に基づき、Xに対して分限免職処分(以下「本件処分」という)を行った。そこでXは、審査請求棄却裁決を経て、本件処分の取消しを求めて出訴し、免職しなければならないほどの適格性欠如は認められない等と主張した。なお、Xは、平成30年1月4日、本件各行為の一部について、暴行罪により罰金20万円の略式命令を受けている。¶001