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 事実の概要 

本件は、X(原告)が、平成30年改正後の健康増進法29条1項2号および30条の規定(以下「本件規定」という)は、喫煙者の「喫煙を楽しみながら飲食を行う自由」を一律に制限するため憲法13条等に違反し、本件規定に係る立法行為によりXが精神的苦痛を被ったとして、Y(国─被告)に対して、国家賠償法1条1項に基づき慰謝料200万円等を請求した事案である。¶001

健康増進法は、当初、一部の施設管理者に対して受動喫煙防止のための努力義務を課すのみであった。しかし、東京オリンピック開催に向けて受動喫煙対策の徹底を目指した平成30年改正後の健康増進法(以下、単に「健康増進法」という)は、望まない受動喫煙の防止を図るため、施設等の区分に応じて喫煙を禁止し、施設の管理権原者が講ずべき措置等を規定することとした。¶002