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事実

被告人Y1株式会社(以下「Y1」という)は、自動車等の製造等を目的とする上場会社、被告人Y2は、平成21年4月から平成24年6月までY1の常務執行役員、同月から平成30年11月までY1の代表取締役等であったもの、分離前の相被告人Aは、平成20年6月から平成30年11月までY1の代表取締役であったもの、Bは、平成19年9月から平成31年3月までY1の秘書室長であったものである。¶001

有価証券報告書について、平成22年の開示府令改正により、役員報酬個別開示制度が導入された。当該制度の趣旨について金融庁は、「役員報酬は、会社あるいは個々の役員の業績に見合ったものとなっているのか、個々の役員に対するインセンティブとして適切か、会社のガバナンスが歪んでいないかなどの観点から、投資判断及びガバナンス上重要な情報と考えられる」などと説明していた。これに対してAは、Y1での自分の報酬額が開示されたらY1にいられなくなるとの問題意識をもち、A自身の報酬のうち未払となっている分を開示されずに支払を受ける方法を周囲に検討させるなどした。¶002