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Ⅰ はじめに

ドイツで、「人的組合法の現代化のための法律(Gesetz zur Modernisierung des Personenge­sellschaftsrecht)」(以下、「本法律」又は「組合法現代化法」という)が2021年6月に成立し、同年8月10日に公布され、2024年1月1日からの施行を予定している(BT-Drucks 19/27635, 19/30942参照)。本法律は、制定以来、一度も改正されたことのないドイツ民法(BGB)の債務関係編の組合に関する規律(705条~740条)、及び総則編の権利能力なき社団に関する規律(54条)を中心に、それと関連する土地登記法(Grundbuchordnung:GBO)、民事訴訟法(Zivil­prozessordnung:ZPO)、商法(Handelsgesetz­buch)など、ドイツ私法上の法人でない団体に関する規律を大幅に見直す改革である(以下、組合法現代化法により改正された法律・条文については、「法律名〔アルファベット略称〕-M」と表記する)。これまで日本の団体論や共同所有論に絶大な影響を与えてきたドイツ法の枠組みが、大きく変わることになる。¶001