FONT SIZE
S
M
L
Ⅰ メタバースを捉える視点
1 本稿の課題
本稿においては、国際私法学の観点から、メタバースに関する法律問題を分析するために必要となる視点について検討を行う。近時、日本を含む世界において、メタバースの利用に関して議論や検討が活性化しており、法的分析についても、徐々に議論が登場している状況にある1)。特に、メタバースはインターネットを利用して世界からアクセス可能なものであるため、発生する法律問題も当然に渉外性を帯びることとなり、国際私法学の観点からの分析が必須であろう2)。他方で、新しい技術によって作られたメタバースについては、いまだ利用に関する現実の法律問題が分析に耐えるほどに十分に多く蓄積されているわけではないように思われ、現時点では、あくまで今後の利用の拡大において法律問題が起こることを想定して検討することとならざるを得ない。そのため、本稿では、そのような将来の検討に有益となり得る視点を提示する序説的な検討にとどめる。¶001