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Ⅰ はじめに

2022年3月4日、中小企業の事業再生等に関する研究会が取りまとめた「中小企業の事業再生等に関するガイドライン」(以下、「本ガイドライン」という)が公表された。本ガイドラインは、平時や有事における中小企業者と金融機関の適時適切な対応について明記するとともに、中小企業者にとって利用しやすい中小企業版私的整理手続を新たに創設するものである。¶001

新型コロナウイルス感染症は、日本経済に甚大な影響をもたらしたが、とりわけ日本の企業数の大半を占める中小企業への影響が深刻である。これまで、中小企業者には雇用調整助成金・持続化給付金・コロナ関連融資等の資金繰り支援策が実行されてきたが、経済支援にも限界があり、かつ、コロナ禍が未だ収束したとは言えないなかで、コロナ関連融資の据え置き期間が終了して返済開始が本格化してきており、現在は資金繰り支援による過剰債務にいかに対応するかが中小企業にとっての新たな課題となっている。¶002