事実

Y社(被告)は、X社(原告)の九州エリアでの業務拡大のため、昭和58年に設立された株式会社である。Y社の株式は、X社とA(訴外)が半数ずつ保有している。Y社の代表取締役にはAが就任しているほか、登記簿上は、Aの子であるB・C(いずれも訴外)が令和2年10月に取締役に就任している。

Y社は、設立以降、X社が製造する電気製品の販売事業のみを営んできたが、Aは、平成22年ころから、定款に記載のないアグリビジネスをY社の事業として展開すべく、研究・調査を行うようになった。Y社の売上高は、平成28年8月期には約8400万円、平成29年8月期には約9500万円であったが、平成30年8月期には約3900万円に減少した。X社は、その原因は、Aがアグリビジネスに力を入れてX社製品の営業活動を積極的に行わなくなったことにあると考え、Y社に専属代理店契約の解消を申し入れ、令和元年8月、X社Y社間で、X社製品の営業権利のX社への移管に関する覚書が作成された。しかしその後、紛争状態となり、X社が移管に伴う対価の支払を止めたため、令和2年5月、Y社はX社に対して当該覚書に基づく債務の履行を求める訴訟(以下「別訴」という)を提起した。