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Ⅰ はじめに
スマートコントラクトの語は多義的である1)。法的観点からみた場合、契約の自動化の一態様として理解されることが多い。ブロックチェーン技術を用い分散性・耐改竄性を備えた自動化された契約をもってスマートコントラクトと表現されることもある2)。¶001
スマートコントラクトは先進テクノロジーに関わる技術であるゆえ懸念も指摘される。例えば、スマートコントラクトを介した決済の電子化・自動化に対する金融規制法におけるアップデートの方法について、あるいは取引が国境をまたぎ規制当局間での立法競争に準じた状況になっていることに対する懸念は強い3)。契約の領域でも、個別立法の集積による逐次的対応が図られてきた領域においては――例えば消費者関連立法が挙げられよう――同様の懸念が生じうる。¶002