フランス、イタリア、オランダ、ベルギーには、法制諮問的機能と最高行政裁判所的機能の2つを兼備した「二重機能型」の国務院があり、政府提出法案や大統領・首相の判断に際して憲法解釈を提供している。本書はここでいう「政府の憲法解釈」の生成過程を摘出するため、これら諸国における国務院の組織法構造を明らかにし、憲法裁判所ないしは憲法裁判所のないオランダでは通常の裁判所とそうした国務院との相互作用を分析する。

日本では、明治期にフランスの国務院をモデルに設置された法制局が、戦後改革での断絶を経て現在の内閣法制局へと至っている。著者は比較法の視座からその組織法構造を分析し、内閣からの独立性が制度上保障されず、本来内閣官房が持つべき「法制管理」を行っているに過ぎないとする。その憲法解釈の方式は「内閣従属機関」による「一重関与モデル」であり、「二重機能型」国務院のモデルにならって、法制管理補佐機関と法制諮問機関を設置すべきだという。内閣法制局は本来の法制管理補佐機関とし、新たに法制諮問機関として参事院を設置し、政府の憲法解釈を二重に審査すべきだとの改革案を提言している。