* 本論文は計量経済学方法論の教科書的な解説ではなく、ほぼ20年以上未解決であった問題に対して筆者が実際に計量経済学を利用して行った実証分析を紹介する。

Ⅰ はじめに

本論文では、判例に依拠しながら、計量経済分析を行い、「因果関係(因果性)」の検証と「損害賠償額」の算定を行う1)。筆者が50年近く行ってきた分野は「応用計量経済学」といわれ、数式で書かれた経済モデルを基礎に置き、現実の経済データを利用し、様々な仮説の現実妥当性を統計的にテストする研究分野である。経済の実証分析というと、一般的には、経済理論の正しさを追試するにすぎないと考えられている。しかしそれは経済の実証分析の目的の1つでしかない。