Ⅰ 計量分析の利用局面

本稿は、証券訴訟における損害算定で利用される分析手法の中でも、計量的(統計的)な分析手法について取り上げる。簡単な事例として、のような状況を考えよう。時点t=0において、発行会社において開示書類の虚偽記載がなされた。この段階では、虚偽記載があるという情報は、マーケットに知られていない。その状態で、ある投資家が、時点t=1において、この会社の株式を購入した。その後、時点t=2において、虚偽記載があったことが公表され、マーケットに知られることになり、株価の下落が発生した。この後、投資家は、発行会社に対し、金商法21条の2及び民法709条に基づく損害賠償請求を行った。