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事実

Y1会社(被告・控訴人)では、退任した取締役の退任慰労金額につき、退任時の報酬月額に、役位別に算出した在任年数にそれぞれの役位係数に乗じた数を累計した支給率累計を乗ずる方法により算出した基準額から、在任中特に重大な損害を与えた退任取締役についてはその金額を減額することができること(「特別減額」)等を内容とする内規(以下「本件内規」という)が定められている。¶001

Y1会社の代表取締役社長であるX(原告・被控訴人)は、自らの役員報酬の不当な増額等が新聞等で取り上げられたこと等により、平成29年6月開催の定時株主総会(以下「本件株主総会」という)の終結時をもって代表取締役社長および取締役を辞任した。本件株主総会において、X外1名の取締役につき、Y1会社の一定の基準に従い、相当額の範囲内で退任慰労金を贈呈することとし、その金額、贈呈の時期、方法等を取締役会に一任するとの第5号議案が審議され承認可決された(以下「本件株主総会決議」という)。その際、Xは、議長として、X以外の退任取締役の退任慰労金については本件内規に従って支払う一方、自らに対する退任慰労金については、金額の適正を確保するために中立かつ公正な調査委員会を設置し、その調査結果を踏まえ、取締役会で金額を決定してもらい、その決定に従うと説明し、その金額、支払方法、支払時期等は取締役会に一任してほしいなどと述べていた。¶002