((1)より続く)

Ⅱ 取消判決の第三者効の性質

1 巽説の理路

巽説への疑問を述べる前に、巽著による疑似的排除効説の正当化の理路をいま一度確認しておこう。

上で垣内論文に即して説明したように(前記Ⅰ2)、形成判決の訴訟法的側面(巽著にいう「排除効」)の性質は、形成結果の存在要件の理解に対応する。すなわち、排除効の性質を形成力と理解する見解は形成結果の存在要件につき単一要件説を前提にしており、既判力と理解する見解は二重要件説を前提にしていると考えられる。では、単一要件説と二重要件説のいずれが正当か。この点は、民事訴訟法学においては、「少なくとも日本においては、現在もなお深刻な対立が存在しており、いずれの立場が多数説とも断定しがたい状況にある」1)ようである。