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はじめに

巽智彦『第三者効の研究――第三者規律の基層』(有斐閣、2017年)(以下「巽著」という)1)は、行政事件訴訟法(行訴法)32条の定める取消判決の第三者効に関する浩瀚なモノグラフであり、日本とドイツの行政法および民事訴訟法の学説(史)・制度(史)を渉猟して、第三者効の性質や限界の解明にかなりの程度成功している。このテーマでこのレベルの研究書を物することは容易ではなく、第三者効をめぐる議論の準拠点として今後長きにわたり参照されるべき業績であることは間違いない。¶001