はじめに
巽智彦『第三者効の研究――第三者規律の基層』(有斐閣、2017年)(以下「巽著」という)1)は、行政事件訴訟法(行訴法)32条の定める取消判決の第三者効に関する浩瀚なモノグラフであり、日本とドイツの行政法および民事訴訟法の学説(史)・制度(史)を渉猟して、第三者効の性質や限界の解明にかなりの程度成功している。このテーマでこのレベルの研究書を物することは容易ではなく、第三者効をめぐる議論の準拠点として今後長きにわたり参照されるべき業績であることは間違いない。¶001
本コーナー「研究関心の地平」は、若手研究者のご研究内容をより広く世に発信していただく場のひとつとして設けたものです。若手研究者の著作を主な題材として、それを直接読むのとは違ったかたちで、問題関心等をご発表・ご議論いただきます。本コーナーを通じ、新たな視点にも触れ、研究の広がりや面白さを感じ取っていただけますと幸いです。
最初の企画にあたる今回は、巽智彦/著『第三者効の研究――第三者規律の基層』が題材です。第1回・第2回で、興津征雄先生による書評論文を、そしてこの書評論文を受け第3回~第5回で、巽先生・垣内秀介先生・興津先生による座談会を、お届けいたします。どうぞご期待ください。(有斐閣Online編集部)
有斐閣
2017年09月発売
A5判上製カバー付・414頁
本体8000円+税
ISBN 978-4-641-22729-3
序 論
第1部 形成概念と第三者効
第1章 第三者効と第三者再審
第2章 形成訴訟論と対世効
第3章 形成力の意義
第2部 紛争解決と第三者効
第1章 ドイツにおける行政紛争解決
第2章 対世効による紛争解決
第3章 我が国における行政紛争解決
結 論
巽智彦『第三者効の研究――第三者規律の基層』(有斐閣、2017年)(以下「巽著」という)1)は、行政事件訴訟法(行訴法)32条の定める取消判決の第三者効に関する浩瀚なモノグラフであり、日本とドイツの行政法および民事訴訟法の学説(史)・制度(史)を渉猟して、第三者効の性質や限界の解明にかなりの程度成功している。このテーマでこのレベルの研究書を物することは容易ではなく、第三者効をめぐる議論の準拠点として今後長きにわたり参照されるべき業績であることは間違いない。¶001