事実

Ⅰ 事案の概要

本件は、国外に居住していて国内の市町村の区域内に住所を有していない日本国民(以下「在外国民」という)に最高裁判所の裁判官の任命に関する国民の審査(以下「国民審査」という)に係る審査権の行使が認められていないことの適否等が争われた事案である。

在外国民であるX1(原告・被控訴人=控訴人・令和2年(行ツ)第255号被上告人=(行ヒ)第290号上告人=(行ヒ)第291号被上告人=(行ヒ)第292号附帯上告人)は、Y(国。被告・控訴人=被控訴人・令和2年(行ツ)第255号上告人=(行ヒ)第290号被上告人=(行ヒ)第291号上告人=(行ヒ)第292号附帯被上告人)に対し、主位的に、次回の国民審査において審査権を行使することができる地位にあることの確認を求め(以下、この請求に係る訴えを「本件地位確認の訴え」という)、予備的に、YがX1に対して国外に住所を有することをもって次回の国民審査において審査権の行使をさせないことが憲法15条1項、79条2項、3項等に違反して違法であることの確認を求めた(以下、この請求に係る訴えを「本件違法確認の訴え」という)。また、平成29年10月22日当時に在外国民であったX1~X5(以下「Xら」という。X2~X5につき、原告・被控訴人=控訴人・令和2年(行ヒ)第290号上告人)は、Yに対し、国会において在外国民に審査権の行使を認める制度(以下「在外審査制度」という)を創設する立法措置がとられなかったこと(以下「本件立法不作為」という)により、同日に施行された国民審査(以下「平成29年国民審査」という)において審査権を行使することができず精神的苦痛を被ったとして、国家賠償法1条1項に基づく損害賠償を求めた。