ロシア政府は、ウクライナ東部のドネツク州及びルガンスク州で2014年4月から親ロシア派武装勢力が支配する地域の住民に対し、2019年4月以降、ロシア国籍の付与を推進してきた。国外の住民を大量に帰化させるロシアの政策は、パスポーティゼーション(passportization)として知られ、過去には、ジョージアの南オセチア及びアブハジアや、ウクライナのクリミア半島でも展開された。

ロシア連邦国籍法(2002年連邦法第62号)は、外国人が「一般的手続」に基づきロシア国籍を申請する場合の要件として、①ロシアにおける5年間の継続的居住、②ロシアの連邦憲法及び法の遵守の宣誓、③合法的な生計手段、④ロシア語能力を定めている(13条)。その上で、同法は、一定の条件の下でこれらの要件の一部を免除する「簡易手続」に関する規定(14条)を設けている。簡易手続は当初、ロシア国民との血縁関係に基づく場合や、旧ソ連国籍者のうち他国籍を取得しなかった場合を対象として設けられた制度であった。2018年12月の同法改正において、大統領は「人道目的」のため、簡易手続によりロシア国籍を申請する権利を有する外国人及び無国籍者の区分を決定できるという規定(29条1-1項)が新たに追加された。当該決定の対象となった者については、前述の要件のうち、②以外は免除される(14条8項)。