原論文の登場(2009年~2010年)から本書公刊までの間に、フランス法上のコーズ(cause)も日本法上の要素も法文上姿を消した(仏2016年改正、日2017年改正)。書き下ろしの「はしがき」はかえって溌剌としている。日本民法95条の改正に際しての「法律行為の内容化」要件をめぐる「混乱の核心」は、「当事者の生の意思表示が法律行為に昇華する法的な過程」の無理解にあった。意思表示ないし法律行為の「解釈という法技術」に覆い隠されてきたが、「よりドグマティークな思考に支配された、複層的な過程」として把握されるべきである。フランス法ではコーズ概念の担当であった。しかしその職掌は拡大を続け、「手に負えなくな」ってしまった。任を解かれたコーズは、問いに目覚めた「日本法において、新たな意味を持ちうる」と(ⅲ頁~ⅳ頁)。