Ⅰ 申立て段階での住所、氏名等の秘匿

1 原告となる被害者の住所、氏名を秘匿する必要性

(1) 民事訴訟の原告の氏名がわからなければ、訴えを提起した主体が特定できない。そのため、原告の氏名は、訴状の必要的記載事項となっている(134条2項1号)1)。他方で、住所は、法定の必要的記載事項ではないが、これを訴状に記載することが規則上必要とされている(民訴規2条1項1号)。すなわち、社会生活上の多くの場面と同様に、民事訴訟手続でも、住所には当事者を特定、識別する(例えば同姓同名の他の者と識別する)機能があることが前提とされている2)。さらに、原告の住所は、土地管轄(5条1号の場合)や送達場所の確定にあたっても基準となる。以上の意味で、原告の氏名と住所(以下「当事者特定情報」という)は、民事訴訟において必須の情報である。このことは、オンラインによる訴え提起(132条の10)が可能となった後も変わりがない。