本稿は、営業秘密に係る損害賠償規定の概要を踏まえ、これを見直すとの観点から、最近の産業構造審議会知的財産分科会不正競争防止小委員会での論点および中間的取り纏めを検討したうえ、考察を加えるものである。

Ⅰ. 営業秘密に係る損害賠償規定の概要

営業秘密を侵害された被侵害者は、侵害者に対し、損害賠償請求を行うことが可能である(不正競争防止法〔以下、「不競法」〕4条)。その際、被侵害者は、被った損害額を立証する必要があるが、侵害者の不正競争により被侵害者が被った損害は経済活動を通じて発生するものであるため、その立証が困難であることに鑑み、不競法は、被侵害者の損害額に関する立証負担軽減の観点から、損害賠償額の推定規定等を整備している(不競法5条1項~3項)1)