Ⅰ. 立証負担の軽減が必要とされる理由

不正競争防止法1)(以下「本法」又は「法」という)が定める営業秘密保護制度は、他の産業財産権や著作権法上の権利のような、準物権的な独占権を付与するという方式を採用していない。本法は不正な行為態様(「不正競争」行為)の規制によって保護を図ろうとするものである。このように行為態様を規制する方式であることから、典型的な営業秘密侵害訴訟2)を例に取ると、他の知的財産権に関する侵害訴訟と比べて、原告が侵害行為の態様を具体的に特定して立証する必要性が高い。