Ⅰ. はじめに

日本のインターネットの広告費は2019年、テレビメディアの広告費を抜き、2兆円を超えた1)。2020年の日刊紙の発行部数は約3500万部で、2018年から毎年200万部超の減少が見られる2)。かつて隆盛を誇った放送産業も、総合編成の日刊紙も、インターネットに圧されて黄昏どきを迎えつつあるかに見える。

インターネットは、人々の行動にアーキテクチャが与える影響をはじめとして、法律学一般に対して示唆を与えると言われる3)。先端的で特殊な分野のように見えながら、実は法制度一般にとって、理論上も実践上も、実験室としての役割を果たしている。かつては、放送がそうした場であった。表現の自由をはじめとする基本権の意義と機能を見極める上で、放送固有の規律がなぜ正当化されるか(されないか)を問うことは、クルーシャルな意味を持ってきた。