Ⅰ.はじめに

本稿は、2020年度および2021年度に総務省行政管理局が実施した行政不服審査制度の運用実態に関するヒアリング調査等の結果を踏まえ、行政不服審査の実務と課題について検討するものである。

2014(平成26)年に全面改正された行政不服審査法(以下、単に「法」ともいう)の運用状況については、これまでにも、総務省行政管理局が実施した施行状況に関する調査結果等1)、総務省行政不服審査会が取りまとめた活動状況報告2)、行政法研究者による研究論文3)等が公表されている。しかしながら、これらは統計データの整理や公表されている裁決例・答申例の分析が中心であり、現場における運用実態を踏まえて制度上・運用上の課題を抽出するものではなかった。