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事実

Ⅰ.事案の概要

本件は、犯行日を平成27年5月とする窃盗1件、詐欺1件、詐欺未遂3件と、犯行日を同年3月とする詐欺3件(不正に入手した他人名義の健康保険被保険者証及び同人名義のクレジットカードを使用して同人に成り済まし、クレジット機能付きポイントカードをだまし取ったという詐欺1件、上記ポイントカードを使用して商品等をだまし取ったという詐欺2件。以下「本件公訴事実」という)の事案である。¶001

第1審の千葉地裁は、各事件を期日間整理手続に付して、争点及び証拠の整理を行った上、犯行日を平成27年5月とする窃盗、詐欺、詐欺未遂の各事件については、被告人を有罪と認定し、懲役2年6月、4年間執行猶予に処したが、本件公訴事実については、被告人が犯人であることに合理的な疑いが残るとして、いずれも無罪を言い渡した(千葉地判平成29・3・13刑集74巻1号64頁)。¶002