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事実の概要

被告人Xは、いずれも家電量販店において、①不正に入手したAを被保険者とする健康保険被保険者証およびA名義のクレジットカードを使用してAになりすましてクレジット機能付ポイントカードを騙し取り、②同店店員に、Aになりすまして2回にわたり上記カードを提示して財布やゲーム機の購入を申し込み、それぞれ財物の交付を受けて騙し取ったという公訴事実で起訴された。¶001

1審が、公訴事実の存在を認めるに足りる証明がないとして被告人に無罪を言い渡したところ、控訴審が、この認定・判断は論理則、経験則等に照らして不合理として1審判決を破棄し、自ら何らの事実の取調べをすることなく有罪の自判をした(原判決)。これに対し、検察官、弁護人の双方が判例(最大判昭和31・7・18刑集10巻7号1147頁、最大判昭和31・9・26刑集10巻9号1391頁、以下併せて「本件判例」という)違反等を理由として上告した。¶002