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Ⅰ. はじめに

いまサステナビリティが盛んに強調されている。今般のコーポレートガバナンス・コード(以下、「CGコード」とする)の改訂も、その重要なポイントの一つは、サステナビリティ(改訂CGコードの定義によれば「ESG要素を含む中長期的な持続可能性」)を巡る課題への対応をより一層強く求めることにあった。¶001

多くの読者の関心は、各企業がCGコードの改訂にどのように対応すべきかという点にあるかもしれない。しかし、この点に関しては、すでに多数の論考が公表されており、いまさら本稿で取り上げても、あまり益するところはないように思われる。そこで本稿では、「なぜいまサステナビリティが強調されるのか」という問いを立てて、その背景にある議論を探るとともに、かかる議論がコーポレート・ガバナンス論の中でどのように位置付けられるのかを分析することにした。¶002