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Ⅰ. はじめに
東京証券取引所は、市場区分の見直しを行い、2022年4月4日に、スタンダード市場、プライム市場、および、グロース市場の3つの市場区分に再編することを予定している1)。¶001
市場区分の見直しをする主たる理由は3つある。第1に、現在の5つの市場区分(市場第一部、市場第二部、マザーズ、JASDAQスタンダード、JASDAQグロース)のコンセプトがあいまいであり、投資者にとって利便性が低いからである。第2に、現在の市場区分では、市場第一部へのステップアップ基準が低いこと、および、上場時の基準に比べて市場第一部から市場第二部への移行や上場廃止に係る基準が低いことなどから、上場会社の持続的な企業価値向上の動機付けの役割を十分果たせていないからである。第3に、株価指数であるTOPIXは、市場第一部の全ての銘柄で構成されているため、投資対象としての機能性に欠けており、他方で、他に投資対象としての機能性と市場代表性を兼ね備えた指数が存在しないからである2)。¶002