Ⅰ. はじめに――電子契約と訴訟法とのかかわり

インターネット等を活用した電子商取引が行われるようになったのは最近のことではなく、また、電磁的記録の取扱い、例えば取調べ方法、提出方法、電子文書の形式的証拠力や原本性などの問題は、現行の民事訴訟法改正前から検討されてきたが、近年、民事訴訟のIT化の流れの中で再度関心の対象となっていた1)

その一方で、書面を用いた取引や押印の商慣行も広く残っていたが、新型コロナウイルス感染症の拡大を契機に、リモートワークなどの新しい生活様式が求められる中、書面のやり取りや押印等をするためだけに出社する事態を避けるために、行政手続のみならず、民間の契約等においても、ペーパレス化を進めて押印の慣行を廃止し、電子署名、電子認証サービスや電子メール等の活用が求められるようになった2)。そのため、電子契約や電子署名についての関心も高まることとなった3)