▶ 事実
Y(債務者・抗告人)は、令和3年8月31日、A株式会社及び株式会社Bとの間で株式交換契約を締結し、YとA及びBとの株式交換契約承認の件(本件議案)などを会議の目的として、同年10月29日に臨時株主総会(本件総会)を開催した。¶001
株主に交付された投票用紙には、上部に「賛成・反対・棄権のいずれにもご記入のない場合は、棄権として集計いたします」などと印字され、また、議長及び事務局を担当したY従業員は、投票用紙にマークを記入しないで提出した場合は「棄権」として取り扱うなどの説明を行い、同趣旨のアナウンスが複数回流された。Cの代表取締役副社長であるDは、投票箱(本件投票箱)を持って投票回収のためDのもとに来た係員のEに対し、議決権行使を既に発送しているが、どうしたらいいのかなというニュアンスのことを尋ね、Eが明確な回答をできない様子であるのを見て、指で投票用紙の左上角付近に記載された受付番号を指し示しながら、「後で番号とかで突き合わせて分かるから、いいか」などと述べて、未記入の投票用紙(本件投票用紙)をそのまま本件投票箱に入れた(本件投票)。ところが、Dは、休憩時間中に受付を訪れ、検査役に対し、回収に来た人に、事前に議決権行使をしたので、という旨の説明をした後に、マークシートは白紙で出したなどと述べたことをうけて、Yは、Cの議決権行使内容を「賛成」として取り扱うものとした。¶002