事実の概要
生花店を営むX1(第1事件原告・控訴人)は、平成16年4月16日頃、甲社から土地建物(以下、この建物について「本件建物」という)を購入した。また、X1は、同月23日、損害保険会社Y(第1事件・第2事件被告・被控訴人)との間で、本件建物を保険の目的とした火災保険(店舗総合保険)契約(以下「本件保険契約」という)を締結した。本件保険契約に適用される保険約款2条1項(1)には、Yは、「保険契約者、被保険者またはこれらの者の法定代理人(……)の故意もしくは重大な過失または法令違反」によって生じた損害に対しては保険金を支払わない旨規定されている(以下「本件免責条項」という)。X2銀行(第2事件原告・控訴人)は、同月27日、X1に対し、5800万円を貸し付け、X1の父および兄が本件融資を連帯保証した。X1は本件保険契約に基づく保険金請求権についてX2銀行に対する債務の担保とするために質権を設定し、Yはこの質権設定を承認した。X1は、本件建物購入後も既存店舗で生花店の営業を続け、本件建物を営業拠点として利用することはなく、遅くとも平成19年頃以降は、本件建物にほとんど立ち入らなかった。X1の姉の内縁の夫Aは、遅くとも平成19年頃から、本件建物を倉庫として使用するとともに、本件建物を管理していた。Aは、遅くとも上記の頃から、X1に代わって本件融資の返済を行うようになった。また、Aは、本件建物購入当初からX1に代わって本件建物の固定資産税を支払っていた。X1およびAは、平成23年頃、不動産業者に対し、本件建物の売却やテナントとしての賃貸について相談していたが、それらは実現しなかった。平成26年5月24日、本件建物に火災が発生した。¶001