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事実の概要

A銀行ニューヨーク支店(以下「NY支店」という)において、カストディ(証券預かり保管)業務と米国財務省証券のトレーダー業務を兼務していた行員Bは、同証券の取引で損失を出した。Bはこれを補塡すべく、無断かつ簿外で顧客およびA銀行が所有する同証券の売買を行うとともに、この不正取引を隠蔽するために、同証券の再保管銀行であるCからA銀行に郵送された保管残高明細書を改ざんし、NY支店の帳簿にも虚偽の記載をした。NY支店では、取引部門と事務管理部門の分離や、同証券の保管残高確認が行われていたが、保管残高の確認方法は、Cに直接残高照会するのではなく、Bが改ざんした残高証明書とNY支店の帳簿とを突合するにとどまった。このため、A銀行はBの不正を見抜くことができなかった。Bの不正取引は約11年間にわたり、これによってA銀行は約11億ドルの損害を被った。¶001