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Ⅰ はじめに

ある者(A)が所有する金銭やAを預金者とする預金債権は、原則として、Aを債務者とする債権の引当てとなる。これに対して、Aが所有する金銭やAを預金者とする預金債権が、Aを受託者とする信託における「信託財産に属する財産」(本稿では、単に「信託財産」とすることがある)である場合には、Aを債務者とする債務が信託財産責任負担債務(信託2条9項・21条)にあたらない限り、当該債務に係る債権は、これらの金銭や預金債権を引当てとすることはできない(同23条1項)。このことは、「信託財産の独立性」と呼ばれる。信託財産に対して、信託財産責任負担債務に係る債権に基づくのではなく強制執行等がなされた場合には、Aは受託者として、異議を主張することができる1)(同条5項前段)。¶001