事実の概要
宗教法人法(以下「法」とする)81条1項1号は「法令に違反して、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為をした」場合に、裁判所は宗教法人の解散を命ずることができると規定する。¶001
1970年代末以降、宗教法人X(利害関係参加人)の入信や献金の勧誘は深刻な社会問題になっていた。霊感商法や偽装募金などの違法行為への従事や寄附を強制されていた元信者らは損害賠償を求める32件の民事訴訟を提起し、Xは1559名に対して和解金や裁判外の示談金を含めて約204億円を支払った。さらにXに関連する4件の刑事事件も発生し、信者が有罪判決を受けていた。このような訴訟や社会的批判を受けて、Xは2009年に「コンプライアンス宣言」を発出し、信者に法令遵守を求めた。2022年夏以降にXの活動の実態や政治との不適切な関係があらためて問題となり、文部科学大臣(申立人)は法78条の2に基づき、Xに対して同年11月から翌年7月まで7回にわたって質問権を行使して献金問題・財産管理・組織運営について報告を求めた。だがその約2割が無回答だった等から裁判所に過料を科すよう通知し、10万円の過料を命じた東京地裁の決定を支持した最高裁は、「法令に違反」する行為に民事上の不法行為も含まれると判断した(最決令和7・3・3民集79巻3号997頁)(以下「令和7年決定」とする)。これらを踏まえて、文部科学大臣は法81条1項に基づき東京地裁にXの解散を申し立てた。¶002