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Ⅰ はじめに

かつて、「」と説いた公法学者がいた1)。こうした理解は当時から現在に至るまで異端のものであるが、しかし、これを異常者の妄想と片付けるのも躊躇われる。実際、ごく近時、「行政上の事務管理というやや周辺的な問題が行政法の核心に迫る問題を内包していた」との理解が示されているのである2)¶001

こうした理解の出現の背景には、行政実務における事務管理の利用3)とそれに対する学説からの否定的評価が存する。曰く、「行政活動に関しては、……事務管理は成立しえない」4)。なぜならば、他人の権利領域への介入を正当化する事務管理5)は、法律による行政の原理や民主政原理を潜脱する手段たりうるからである6)。かかる立論には異論も示され7)、議論は活性化の兆しをみせている。¶002