事実の概要
市立泉佐野市民会館(当時)(以下「本件会館」という)は、駅前ターミナルの一角にあり、付近は市内最大の繁華街である。Xら(原告・控訴人・上告人)は、1984(昭和59)年6月3日に本件会館のホールで「関西新空港反対全国総決起集会」(以下「本件集会」という)を開催することを企画し、同年4月2日にY(泉佐野市―被告・被控訴人・被上告人)市長に対して、市立泉佐野市民会館条例(以下「本件条例」という)に基づき、同ホールの使用許可の申請をした(以下「本件申請」という)。本件申請の許否の専決権者である市総務部長は、本件集会の主催者の実体は本件申請の直後に連続爆破事件を起こした過激派の一団体であり、そのような団体に本件会館を使用させると、不測の事態により本件会館周辺の住民の平穏な生活が脅かされたり、対立団体の介入によって付近一帯が大混乱に陥るおそれもあると考え、本件会館の使用を許可してはならない事由を定める本件条例7条のうち、「公の秩序をみだすおそれがある場合」(1号)および「その他会館の管理上支障があると認められる場合」(3号)に該当するとして、同年4月23日、市長名で本件申請を不許可とする処分(以下「本件不許可処分」という)を行った。Xらは、本件不許可処分の取消請求(昭59(行ウ)39号)および執行停止申立て(同(行ク)4号)が不適法却下となったことから、本件条例と本件不許可処分の違憲・違法を主張して、Yに対し国家賠償請求訴訟を提起した。第1審(大阪地判昭和60・8・14民集49巻3号〔参〕872頁)が請求を棄却し、原審(大阪高判平成元・1・25同民集〔参〕885頁)も控訴を棄却したため、Xらは、本件条例の憲法21条違反と、本件不許可処分の憲法21条および地方自治法244条違反を理由に上告した。¶001